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はい、それは要らない心配です

3日目は向かい風、ダラダラ続く上り坂。
曇り空で暑すぎないのが唯一の救い。
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快調に飛ばしていた藍くんもうつむき加減でしんどそうだ。

ほぼ休憩なしに走る藍くんには珍しく休憩。

「今日はツライねぇ!」

自転車を降りると同時に笑いながら言うと、

「ほんっとツライ!」
と藍くんも笑った。

2時間ほど走って20kmほどしか進んでいない。

「この分じゃあと10時間はかかる」と藍くん。

この後も励ましあいながら1時間ごとに休憩をとりながら走った。

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夕方、目的の町に着いたころには二人ともヘトヘト。
そんな中でも藍くんは宿を駆け回って探してくれる。

「ここもあそこもそこも2人で80元だって!そこが一番キレイ、いや、マシだったかな」

二人で一つの部屋、初めは正直驚いた。

旅先で出会った男女2人。

そこに生まれるのは友情?
それとも…

藍くんが私のこと好きになったらどうしよう…
いや、私は人妻…

なんていう心配は全くなく。笑 ←笑っていいのか!?女として!

私たちは旅のパートナーとして寝食1日を共にし、心地よい距離感を保ちながら絆を深めていった。


藍くんは22歳、私より5歳年下だ。
心も身体もとてもしっかりしていて、中国語と英語、少しの日本語ができるという点ではかなり頼りになる。
さらに不平や不満をこぼすことは決してなく、どんな人にも敬意を持って接している。


マラウイのマブトを思い出した。
私が足を怪我したときに、看病してくれた少年。

マブトとは宿の部屋で小さなベッドに肩を並べて座り長い時間一緒にいた。
言葉があまり通じないので、むしろ沈黙の時間のほうが長い。

けれどそれが心地よかった。
二人にとってちょうどいい距離だった。

もちろん、マブトとの間にも全く全然恋愛感情は生まれなかった。

講演なんかでそんな風に話しをすると、「いや、あなたはそうでもマブトくんのほうはきっと…」
とどうも恋ネタに持っていかれることもよくある。

今もマブトとは奇跡的に1年に1回は電話で話せているし、まぁどっちでもよいのだけれど。


藍くんとのことも日本でみんなにはどんな反応されるだろう。
まぁなんでもいいのだけれど。

藍くんとともに旅をし、一緒にウルムチに辿りついたという事実は変わらないのだから。
by manten-bike | 2010-09-02 21:49 | シルクロード3000km