瞑想をさぼる
2010年 05月 19日
200人以上もの人が修行をするマハシ瞑想センター。
食事は朝5時と10時の2回。
しかしすごい量だ。
食堂の前を通るたび、直径120cmくらいの鍋、山積みの野菜、10人くらいの料理係が気になっていた。
5日目の朝、ごはんを食べて道場に向かおうと外に出ると、調理台の椅子にピンクの袈裟を着た若い比丘尼が2人座っていた。
何をしてるんだろう、とのぞきこむと、
「カム!」
と手招き。
周りの料理係りのおばちゃんもニコリ、と笑って椅子を指差した。
「座って!」
2人も笑って椅子を叩く。
手元を見ると豆の皮を剥いている。
昼食の準備だろうか。
傍らのボール(といっても直径1mくらいある)にはぎっしり豆が!
これを全部剥くのか!!!
驚いている私に二人が剥き方を教えてくれる。
すると次から次へと人が集まってきた。
ついには20人くらいになった。
みんなおしゃべりをしながら豆を剥く。
修行中はおしゃべりは禁止ではなかったっけ??
大学で日本語を勉強したという23歳のウィンウィンが隣に座る。
彼女もピンクの袈裟を着た比丘尼だ。
坊主だけれど、めちゃくちゃかわいい、綾瀬はるか似。
5日ぶりに話せるのが嬉しくて私もいろいろと話をする。
今は日本人が経営するIT関係の会社で働いているという。
23歳の誕生日を機に、23日間の修行をしているのだとか。
日本のお坊さんは(宗派にもよるけれど)髪もあるし、お酒も飲むし結婚もする…
車にも自転車にも乗るしカラオケもするよ!
というととても驚いていた。
他の比丘尼や、ヨギのおばちゃんたちとも英語やウィンウィンの通訳を介していろいろ話した。
私にききたいことがみんな相当たまっていたようだ。
私が今ここにいるのは新婚旅行。
なのに夫と別々で修行をしている、というとみんな驚き大笑いしていた。
何百個剥いただろうか。
巨大なボールいっぱいの豆を剥き終わった。
ごほうびに料理係りのおばちゃんから一人1本のバナナをもらった。
ほぼ同じころ、朝食後の瞑想の終わりを告げるベルが聞こえた。
さぼってしまった。
5日目にして初さぼり。
でもここに座っているみんな一緒だ。
みんなにこにこしながらバナナを食べている。
地元っ子と一緒に瞑想し、一緒に豆を剥くまでは、瞑想をサボるだなんてものすごく悪いことだと思っていた。
けど今、罪悪感を感じるよりもむしろ温かい気持ちでいる。
難しく特別なものだと思っていた瞑想への思いが変わった出来事だった。
私たちが剥いた豆は蒸されてマッシュされホクホクのおかずに!