老王との出会い
2009年 04月 06日
旅先でときどきそう感じさせる人と出会う。
なぜこの日、このタイミングで、この場所に?
考えてみれば不思議な奇跡だけれど、それは自ら招いたものなのかもしれない。
ベトナムでもそんな出会いがあった。
旅も約半分が終わろうとしていたころだった。
かつて南北ベトナムを分けていた38度線ベンハイ川にやってきた。
橋のたもとで一生懸命写真を撮っている人がいた。
近づくとなんと荷物を積んだ折りたたみ式の小さな自転車が傍らに止めてあった。
「Hello!」
地元の人ではないと思い英語で話しかける。
「おぉ、Hello.」
しわがれた声とともに目を細めたおじいちゃんが振り向いた。
中国から自転車でやってきたという。
少し話しをして、
「私はここで写真を撮るから」
と別れた。
ベトナム旅ではほかにも4,5人の欧米人サイクリストを見かけた。
たいてい手を振って挨拶か少し話すだけで、長くはならない。
その中国人おじいちゃんともそうだった。
けど同じ方向を目指して走っていた私と中国人はまた出会った。
3度目、道端の露店でココナツ休憩をしていたとき。
「Hello~」
あのおじいちゃんがやってきた。
1リットルの水を買って私の横に腰掛け
お菓子を分けてもらいながら一緒に休憩する。
「西安から来た、アンコールワットを見に行くんだ」
ちょっとアンコールワット見に行ってくるわ~とある日おじいちゃんが言って自転車で出て行く。
おもしろすぎる。
なんておじいちゃんや!
この日からしばらく老王と一緒に旅することになった。